永遠と滅びの狭間。

2002年10月25日
 友人の母君に進呈するために買った本。「末枯れの花守」前に自分で読んだのだが、話はだいたい忘れていた。
 基本的なところは覚えているけれど、細部というのはどうにも忘れる。この本に限らず、なんとなく読み終わった直後は覚えているのだけれど、だんだんと忘れていき「そういう感じ」という部分しか覚えていない。
 それでもどかしいこともあるけれど、何かに使おうと思ったときにきっちり覚えている方が使いづらいので、それもまたよし。

 永遠を司る二人の美姫、常世と永世。この二人は「永遠」を餌に人の「花心」……魂を奪って花にこめて慰みものとする。
 彼女たちから花心を守るのが、滅びの帝の家臣である、青年。(ここらへんの関係を省略。てかすでに忘れた)
 元々、青少年向け文庫で出ていただけあって、年齢設定が10代だったりする。今は、普通の文庫に収納されているけれど。

 この話の中で最後の松の話。
 二人の姫君から花心を守ることができた後のシーン。亡き夫と話す祖母(松の枝鳴りが彼女にはそう聞こえる)を見ている孫娘が、「私にもいつか、ああいう風にいってくれる人が現れるのかな」とませたことをいう。
 それを受けて青年が返した言葉。

「永遠と滅びとの狭間で心が引き裂かれそうな思いをしたら……願いは叶うかもしれない」
「永遠と滅びの狭間?」
「自分以外の人を大事に思う気持ちとは、そういったものだよ」

 初めて読んだ時はさらりと読み流していた言葉が、ふと目にとまった。
 永遠が、ないのがわかっているから。
 それを願うのか。
 永遠という名の時の止まった世界。
 それがあり得ないから、同じく止まった、滅びを願う。
 そのときに選ぶのは、姫君か青年か。
 
 旧文庫版をちょっと探してみようと思った。そちらにならイラストがついているだろうし。青年の姿がちょっと見てみたい(笑)。

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