・・・やられた。

　朝起きる。時計が5分前で止まっていたようなので、竜頭を捲く。
　……ぴきん。
　え？　「ぴきん」？　……そのあと空回りをする竜頭。ぜんまい折れたな、こりゃ。最近、すぐに止まってしまうので摩耗していたのだろうけれど。
　仕方なしに、普段は使わない電池式のをつけようとしたら、これまた電池がきれている。さらに仕方ないので、ほとんど使わないファッション時計（ブレス型）のをつけて会社にいく。風呂に入るとき意外は常につけているので、ないと不安なのだ。
　そうして、仕事が終わってから台風の中、修理に出しにいく。そんじょそこらの店だと不安なので、宝石屋をかねているところに。
　5年ほど前にこれまたぜんまいが折れて修理に出したときは2万かかったからそれくらいだろうと思っていたら、見積もり3万5千。ぎゃふん。そして期間はまるまる1ヶ月。多分、どこにいっても同じくらいかかるだろうから、素直にそこで頼んでくる。
　中学の入学祝いに祖父母からもらったものなので、どうしても修理してもらわないと困るのだ。
　しっかし、多分元値が日本で買うと（当時で）10万ちょっとだったはずなのだが、すでに維持費だけでそんくらいつぎ込んでるよなー。オーバーホール4回目だし。ベルトは消耗品だから毎年変えているし。
　維持費で新しいのを買ったほうがいいという話もあるが、記念の品なので。ついでに気に入ってもいるしね。　

　台風である。しかも関東直撃コースをとっているらしい。それについての心配といえば、会社の雨漏りくらいなもの。
　それよりも心配なのは。関西方面（正直者め）。
　あの人とはじめてメールをかわしたのが、2年前の集中豪雨の時。その時はもちろん、なーんも特別な感情はなく（当たり前）、昔住んでいた所の近くにいる人なので、大丈夫なのかなと思ってメールしてみたはず。
　それから、また特に用もなく、向こうがポスペをいれたくらいにメールとかしたのかな。でもまだ特に親しくなるわけでもなく。
　色々話をするようになったのは、宙をやりはじめてから。毎日のようになにかしらレスをつけあって、キリ番争いをしたり……これが約1年前か。
　そして直接逢って話をして、オフ会の前にお茶したりして……今年のはじめのあの事件となるわけだ。それからは、坂道を転げるように（？）この始末になったわけで。
　知り合ってからはそろそろ2年くらいたつのかぁ。なんかあんまりにも濃い半年をすごしたので、2年前から知り合っているという実感がない。
　人生なにがあるかわからない。
　……で、向こうの様子が心配だったわけだ。メールをしてみたら、返事がなくて仕事忙しくなったのかなーと思ったら中途半端な時間にレスがきた。とりあえず雨の山はこしたらしい。よかった。今回は何事もなくすんだようだ。
　――台風が上陸コースをたどっているときいたときからずっと不安だった。自分の心配ではなく、あの人の身の回りのね。相変わらず立場は友達のままだから、何かあったとしてもすぐに連絡できないし、そして向こうから連絡がくることがない。
　私の知らない所で、なにかあったらと思うと息が苦しくなる。この漠然とした不安は、例え立場が変わったとしても側にいない限り解消はされないだろう。
「そばにいたい　ただ逢いたい　眠れない……」（西脇唯「思いをはせることだけは自由」）……不眠症にはなっていないが。
　3月の地震のことをきいたときのことが甦る。あの時は本気で貧血起こしたし。これから先もこういうことは続いていくのだろうなと思うと、つらい。
　自分以外の誰かのことをこんなに心配する日がくるとは思ってなかったな（苦笑）。そして相手は心配されている自覚なし。ははは。

　親父さんが明日から北海道出張。飛行機大丈夫かいな、と思いつつ時計の修理から戻ってくると白板に伝言が。「台風をさけるため、今日からいってくる」……だそうだ。
　こんな大嵐の中、か弱い乙女が一人で留守番のはこびとなっているのである（爆）。